Mikatsuの本棚

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家族と暮らせば

2025年はもっと小説を読もうと思う。面白いので実用書に手を出しがちだけれど、昨年ベストセラーになった本をいくつか読んでシンプルに感動した。有名な小説だと実用書より共通の話題にできることも多かったので、50冊くらいは読みたい。

 

(あらすじ)

親同士の再婚で兄妹となった陽一とユカリは、5年前に両親が他界して以来2人で暮らしている。だらしなくおおらかな兄と、しっかり者でさばさばした妹。両親の死をきっかけに、一人暮らしをしていた陽一は大学を中退して彼女とも別れ、地元の企業に就職してユカリを養っている。11歳年下のユカリは中学3年生。受験勉強と並行して平日の家事全般をこなし、義母の残したレシピを使いながら食事や弁当を作る。そこに庭にやってくるようになったハチワレ猫の種田さんが加わる。2人と一匹、それを取り巻く人々を描いたのんびりとした物語。

陽一とユカリに血が繋がりがないため、二人の関係を勘ぐる人も出てくるが、恋愛の要素は全くない。家の中でしか見せないであろうだらしない様子や憎まれ口の描写を見ると、いたって普通の兄妹に見える。一年の移り変わりの中で、それぞれが今の生活をあらためて見直したり、相手のために空回ったり、家族について考えたりする様子がほほえましかった。

一方で二人は若く、血の繋がりもないため、一度家族を解消すると高確率で疎遠になることが示唆されている。疎ましく思っていても、家族はいつか終わる。

家族といえど一人の人としてそれぞれ存在しているので、お互いに嫌な部分は少なからずある。それでも、家族と暮らすことに救われている部分もあるなと思える本だった。