Mikatsuの本棚

本を読んだ感想など書いています

人間とは築けないつながりを感じた話

三歳までは幼犬、六歳までは良犬、九歳までは老犬、十歳からは神様の贈り物。

 

犬の寿命は人間よりずっと短い

そわかっていても日々を共にした犬との別れは耐え難い

人には言えないことや人とは分かり合えない悲しみにも寄り添ってくれるソウルメイトのような犬にまつわる短編集を読みました

 

ゴールデンウィークの旅行に本を持って行かなかったのですが、ホテルの滞在時間にやはり本が読みたくなって本屋でジャケ買いしました。動物の話で気軽に読めるイメージだったのですが、かなり読み応えのある本でした。

 

ペットというのは今や家族も同然に思っている人も多いと思います。人間の言葉は話さないけど、こちらのことを理解しているようで、おもちゃで遊んだり寄り添ってくれたりする様は何とも愛おしい気持ちになります。そしていつの間にか心の支えになっていたりします。

 

犬をテーマにした7編の短編集で、これまで読んだ本の中で一番犬の様子が生き生きと描かれていました。

お気に入りの話は最後の『バーニーズ・マウンテン・ドッグ』。病に侵され、死を待つのみの愛犬に精一杯の抵抗と愛情を注ぐ家族の物語でした。できるだけ一緒にいたい、幸せを感じてほしいと願う一方、できるだけ苦しみを引き延ばさず穏やかな最期を迎えてほしいという思いのはざまで揺れ動く人間心理と、死に向かいながらそれでも無邪気に飼い主と時を過ごす犬の描写は、犬を飼ったことない自分でも動揺してしまうほどでした。

 

すべての犬の幸せを願っています。