社会問題を扱う作品やドキュメンタリーを見たり読んだりするときは、少し覚悟がいる。元気がない時は気持ちが深く沈んでしまうからだ。話題になったときは手に取れなかった本を、やっと開いてみた。
(あらすじ)
東北大震災の復興が進む仙台で起こった連続餓死殺人事件。被害者は人格者として知られる公務員や議員たち。被害者は人気のないところで拘束され、死を待つしかないという残忍な殺害方法に警察はただならぬ憎悪を感じる。「善人である」ということしか共通点のなかった被害者たちは、のちにある人物の死でつながっていることが判明した。護られなかった者たちはどこへ向かうのか。
政府、行政、警察組織など組織の中の人間としての葛藤や、現社会システムの欠陥がミステリーに織り交ぜられており、とても読みごたえがあった。読んでいてつらくなるのではという予想に反して、ページをめくる手は止まらず、熱中して読んだ。
避けてきたテーマや分野の本を意識して読んでみると発見がありそうだ。