Mikatsuの本棚

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読書で世界旅行#2 韓国 無意識の差別

韓国旅行した知人が「パラレルワールドみたいだった」と言っていた。

街並みは日本にとても似ていて、人も物も親しみやすいものばかり。言葉だけが違うように思えた、と。

この本を読んで、差別に対する考え方や政治・司法についても近しいものがあると感じた。

「それ、差別ですよ」

と指摘されたら、ぎょっとする(攻撃的に感じる)人は多いと思う。差別がよいことと思っていない人が大半だからだ。

差別といえば、どんなものがあるだろう。

・女性

・障害者

セクシュアルマイノリティ

・民族、人種

・宗教

多くの人はマイノリティに対して意図的に差別することはないかもしれないが、著者はマジョリティによる無意識の差別について啓蒙している。

 

例えば、日本では女性の社会進出に関して、女性の就業率の高まりや管理職に就く女性が目立つようになったため、男女平等であるように感じるが、収入比率や管理職の男女比率で見た場合、平等にははるか及ばない。

ここで「女性は野心がない」「子育てでキャリアをあきらめがち」などの意見が散見されるが、野心がないとあらかじめ決められること、子育てかキャリアかを選ばされるところにすでに差別が潜んでいる。管理職になる気がないとあらかじめ見なされている環境で、社会での男女の評価はすでに差が生じている。あるいは、もっと前に。

 

無意識の差別は下記の質問からも見ることができる。男性が「私」なら、

・私がたびたび昇進に失敗した場合、その理由は性別ではないだろう。

・私は夜に公共の場所を歩くことを怖がる必要がない。(p.33)

さらに、

・私が性的被害にあったとき、私のその時の服装について責められることはないだろう。

・私が感情的になったとしても、同じ性別の人が一般的に「感情的だ」と言われることはないだろう。

 

白人が「私」なら、

・私と同じ人種に属するすべての人々を代表して話すようにと言われることはない。

・私が店などで責任者を呼ぶと、ほぼ間違いなく自分と同じ人種の人が出てくる。(p.32)

 

※質問は1989年時点のもののため、現在のアメリカで必ずしもこの状況であるわけではない。

 

マジョリティはマイノリティにたいして「嫌い」という感情を表し、攻撃的な言葉を投げかける場合がある一方、マイノリティに対しては(受け入れてもらうためには)感情的にならず丁寧に説明するよう求める。

 

韓国やアメリカの事例が多いが、日本にも当てはまるケースが多数あり、差別を考える上で大変勉強になる一冊だった。