Mikatsuの本棚

本を読んだ感想など書いています

追憶の中の祖国

年に2冊くらいのペースで洋書を読んでいる。今年の5月から読み始めた本をようやく読み終えた。

(あらすじ)

アフガニスタンの裕福な家庭に生まれ育ったアミールは、使用人の少年ハッサンと兄弟のように育つ。献身的に尽くすハッサンとの生活に救われながらも、ある出来事をきっかけにアミールはハッサンを遠ざけるようになり、決定的な別れを迎える。そんな中ソ連アフガニスタン侵攻により、アミールは父親と共にアメリカへ亡命する。アメリカで苦労を重ねながらなんとか生活を成り立たせていったアミールに、アフガニスタンから知らせが届く。祖国へ戻ったアミールは、内戦や混乱によってかつての面影もないふるさとに思いをはせながら、約束を果たすために奮闘する。

アフガニスタン出身の作家の本はこの本が2冊目になる。あまりアフガニスタンについての知識がなかったこともあり、洋書で読むのはかなり苦労した。本の中で出てくるパシュトー語の敬称や食べ物、アラーを表す言葉など、調べながら読み進めた。ただ文章自体は読みやすく、豊かな自然や市場、ソ連の侵攻やタリバンのこと、人種差別のこと、アフガニスタンの暮らしの変化が目に見えるようだった。

映画『The Kite Runner』の邦題『君のためなら千回でも』のもとになったセリフ、"For you, a thousand times over" は本書の中で3人の登場人物が述べていて、それぞれの背景の違いにもぐっときた。

ハッピーエンドとも言い切れないし、衝撃的な描写も多々あるので万人におすすめできる本ではないけれど、読んでよかったと思う。興味のある人はぜひ読んでほしい。