Mikatsuの本棚

本を読んだ感想など書いています

「勉強ができない」とはどういうことか

学生時代に戻りたいと友人から聞いた時

大学生を思い浮かべたけれど

本人は高校生に戻りたいらしかった

 

高校生になんて二度と戻りたくないけれど

友人が戻りたい高校生時代はどんなだったのだろうと気になった

 

主人公、時田秀美は学校の成績がよくない、いわゆる勉強ができない高校生。けれど女子から人気があり、サッカーができ、年上の恋人がいる。

秀美の周りには恋人の桃子、優等生の脇山、自分のことをかわいいと自認して告白する山野、美容に手を抜かない黒川、「常識」で生徒と向き合う奥村、そして母と祖父などそれぞれ個性の強い登場人物がいる。

学校生活のちょっとした出来事や、登場人物たちのちょっと背伸びしたようなセリフが自分の高校生時代を振り返らせる。

 

「勉強ができる」とはつまりは学校のテストでいい成績を取ることだと思っていた。勉強ができて、いい大学へ行けることは成功で、テストの成績が悪いといい大学へも行けなくて、その先がどうなるかなんて考えるのが怖かった。

秀美は自分で「勉強ができない」と自負しているが、卑屈になったり、人を見下したり貶めたりするようなことはしない。人間関係の中で自分なりの考えを持ち、授業では得られないような学びをしている。

勉強ができるということが重視されがちだけど、勉強ができるだけじゃない、人として大切な部分を勉強してきたかということも忘れてはならないというメッセージを感じた。

 

きっと自分が高校生の時に読んでも共感できなったのではないかと思う。

夢中で読めたのは、少しは成長しているということだろう。