前回紹介した『ナチュラリスト』で、筆者が少年時代夢中になっていた本の一つに『ドリトル先生』シリーズがあった。
『ハリー・ポッター』や『ダレンシャン』、『赤毛のアン』は読んでいたけれど、有名な児童文学はまだ読めていないものが多い。
子供向けの本をいまさら読むことに少し気恥ずかしさはあるけれど、作者も大人だし、今が一番人生で若い日なので、読んでみた。
大人が読んでも、というか大人になった今だからこそ見つかる面白さがあった。
ドリトル先生は人間の医者、動物好きが高じて家を動物園状態にしてしまい、人間の患者からは敬遠されるようになる。増え続ける動物たちと減り続ける貯金を心配した動物が、動物の医者に転職するよう勧める。またこの時、動物語を先生が学び始めたことで動物たちの間で動物のことが分かる人間がいると話題の名医になっていく。
ある日、アフリカでサルが次々と病気になっているので助けてほしいという連絡を受ける。国王に海賊、船の沈没など、何度も困難に見舞われながら先生一行は旅をする。
子どもの時、動物と話せたらいいなと思ったことが何度かあった。この本では主人公はそれが可能で、それぞれの動物たちも個性があって魅力的だった。案外人間の仲間よりしっかりしているかもしれない。
日々の仕事や雑務に追われていると、現実的なことばかりに目を向けてしまいがちなので、ファンタジー要素のある物語はどこか気が休まって読みやすかった。
作者の生きた時代の影響もあり、差別的な表現が問題になることもあるようだけど、なかったことにするよりそういう時代があったことを残すべきだと個人的には思う。
続きを買おう。