こうなりたい、こうありたいという夢はありますか?
もしくはそういう夢がありましたか?
その夢は叶いましたか?
叶えたい、叶えたかった夢について今思うことはありますか?
『アルケミスト』
山川 紘矢、山川亜希子 訳
異国感とファンタジーを持ち合わせた魅力が200ページ程度に収まっています。
ブラジル出身の作者によるこの本は世界81カ国の言葉に翻訳され、2億部以上の売り上げを上げています。170カ国を超える国々で読まれているので、もしかしたらすでに読まれている人もいるかもしれません。
<あらすじ>
少年サンチャゴは、旅に出たいという目的のため、神父になるという道と故郷を捨て羊飼いになって羊と共に各地を旅していた。
旅の中で繰り返しみる奇妙な夢に何かの運命を感じ、その夢の真偽を確かめるべく、羊飼いの道を捨て新たな旅に出る。
長い旅の中で出会った人や心の声に耳を澄ましながら、サンチャゴはアルケミストと人生を学んでいく。
児童文学のようですが、読めば読むほど人生の知恵が散りばめられているように感じます。
夢に向かって何かを選択した時、今ある何かを手放さなければならないことがあります。それは今持っている資産だったり、故郷だったり、安定している生活だったり。
夢に向かって行動を始めると、道を間違えたり誰かに騙されたり、お金を失ったりすることがあります。そして安定した前の暮らしを懐かしく思い後悔することがあります。
夢を夢のままで終わらせて今の生活を続けていたらどうなるのでしょうか。今の生活に満足しているという思いは嘘ではないでしょうが、かつての夢はどこかでずっと燻っているかもしれません。
また、自分と同じような目標を持って、でも自分とは違うアプローチで物事を成そうとしている人にも出逢います。
心の声を信じることは大切ですが、心が自分になってしまっては選択を誤ることがあります。
心の声を無視し続けると、その声はだんだん弱くなり、自分の心がわからなくなってしまします。
後から思えば遠回りで無駄なことをしていたように見える事柄がたくさん出てきますが、それこそがまたかけがえのない経験と人生の豊かさをもたらしてくれていることにも気づくかもしれません。
物語の中の話は地理的にも時代背景的にも現実とはかけ離れていますが、自分の人生とも関係しているようなリアルさを覚えます。
夢を追う一人として、毎年この本を読んでまだこの旅を続けたいと思います。
死ぬまでに読んでほしい本を選べと言われたら、この本はそのうちの1つです。
ぜひ、あなたも一度手にとってみてください。