Mikatsuの本棚

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捨てないパン屋の挑戦 しあわせのレシピ

「たべものが一番の環境問題」

現在日本では年間約612万トンの食品ロスがある

換算すると東京ドーム約5杯分(個人的にはいつもそれがどれくらいなのかわからないですが、わかる方はわかるかと)

食料供給の約62%を輸入で賄っているのに大量に捨ててしまうのは、もったいないだけではなく燃料費や償却コストなど、金銭的にも環境的にも負荷がかかっている

※参考

食品ロスの現状を知る:農林水産省

特に消費期限の短いパンは廃棄されやすい

そんな現状を知った一人のパン職人の挑戦

 

最近SDGs(持続可能な開発目標)という言葉をよく目にするようになりました。企業のHPやコマーシャルにもたびたび登場し、「ズレた」発言が時々炎上しています。

目標は17の項目からなり、様々な行動指針がありますが、個人でできる行動としてかなり身近にあるものの1つに「フードロス削減」があります。

消費側も生産側も取り組める行動です。

 

この本は環境問題を解決する仕事がしたかったある一人の男性(ブーランジェリー・ドリアンのパン職人)が、様々な経験を経て捨てないパン屋になるまでの物語です。

 

日本でパン屋さんと言えば、食パンはもちろん菓子パンやサンドウィッチなど、たくさん種類のあるパン屋のイメージが根強く、菓子パンは特に人気です。これらのパンは消費期限が短く、1日というものがほとんでどす。一方、フランスなどのパン屋ではバゲットやカンパーニュなど、1週間程度日持ちする大きな固いパンを多く扱っています。使う材料にこだわっている老舗のパン屋もちらほら。

 

パン職人田村さんは捨てないパン屋を実現するにあたって菓子パン販売の廃止やメニューの削減を行い、売り上げや客層が激減しても、信念を貫くべく決断を繰り返していきます。

また、自らフランスに足を運び、パンの製法や働き方を真摯に学びます。

パンは西洋発祥の食べ物なので、向こうの生活に深く根差しています。本場のレシピや哲学を学び、日本でも展開していくという発想には共感します。もちろん食文化や味に対する指向は異なりますが、日本より進んだ発想(この場合はSDGs)の国から学ぶことは有用です。

 

個人でできるSDGsに気づかされるとともに、社会の変化について考えるきっかけになる本でした。

あと、パンが食べたくなります。