人生の中で後悔していること、やり直したいと思うことはありますか?
もしやり直せたとしたら、その人生は「幸せ」だと思いますか?
『ミッドナイト・ライブラリー』
マット・ヘイグ 作
浅倉卓弥 訳
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読み始めた時は、正直ベストセラーであることを疑いました。
主人公が死を決意した27時間前から物語は始まります。
主人公ノーラは家族とも疎遠で、精神疾患を患い、愛猫をなくした上に仕事をクビになります。親友もオーストラリアへ移住し滅多に連絡を取ることもなく、孤独のまま自ら死ぬことを選択します。
暗い・・・。読み進められるか不安になるほど暗い始まり方をしています。
ノーラが意識を取り戻した時、そこは現実の世界とは異なる風景でした。
生と死の間にあったのは、人生のどこかで別の選択をした場合にありえた、無数の並行世界が選べる「図書館」でした。
そこから選んだ人生からもう一度やり直せる、と案内人は別の人生を選んで生き直すことを勧めます。
ノーラは後悔しない「幸せ」な人生を探して、並行世界を行き来することで物語は展開していきます。
人の目を気にしてできなかったこと、家族や大切な期待に応えらなかったことを後悔していたノーラは次々とやり直したい人生を選択し、そこで生きようとします。
けれど自分の選んだ人生の先で、より悲惨な目に遭っていたり、自分の「幸せ」とは裏腹に家族や友人が「不幸」になっていてなかなか理想とする「幸せ」な人生が見つかりません。
また、無数の「自分の人生」を生きる中で、今生きている自分ははたして「自分」といえるのかという疑問にもぶつかります。
「生きることでしか学べない」
人生は選択の連続でできていることを気づかせてくれる1冊です。
ノーラが見つけた「幸せ」な人生とはなんなのか、お時間がありましたら是非この本を手にとってみてください。