新幹線に乗っていて、汚いなと思うことがまずない。
在来線も特に汚れてはいないけれど、誰かの置いていったペットボトルやこぼしたジュースの跡くらいはある。
新幹線に乗るのは長距離移動する客なので、もっと飲み物のごみや忘れ物も多いはず。
新幹線がきれいなのは、それを清掃している人々がいるからだ。日々約110本もの新幹線の清掃を担う会社と、その裏側に密着した本を読んだ。
「株式会社JR東日本テクノハートTESSEI (旧: 鉄道整備株式会社)」は清掃会社。正社員とパート社員で構成される清掃のプロフェッショナル達の仕事は、新幹線の車両清掃のみならず、コンコースやホームでのカスタマーサービスも行っている。
清掃は縁の下の力持ちでありながら倦厭されがちな業務だ。しかも新幹線は毎日かなりの数が駅を行ったり来たり。いかに短時間で、清潔に仕上げるかが永遠の課題だ。
「ただの掃除スタッフ」だった社員たちが、いかにして人材教育や組織改革に乗り出し、現在のプロフェッショナルかつあたたかなサービスを提供する会社に成長したのががこの本で取り上げられている。
東北大震災時の新幹線のトイレの惨状や、復興に向けた清掃員たちの思いについても触れられている。
新幹線はきれいであることが当たり前のことだと思っていたけれど、それを支えている仕事について知れたいい本だった。