Mikatsuの本棚

本を読んだ感想など書いています

その真相を追ってはいけない

ミステリーにおいて人が犯罪に走るとき、犯人にはそれなりの動機がある。

復讐とか、大切な人を守るためとか、快楽殺人とか。

不可解な事件が刑事や探偵、ときには頭脳が大人の子供によって紐解かれていくのが面白いのだけど、真相を追わない方がよかったタイプのミステリーを読んだ。

 

6編の短編からなる本。登場人物の職業や年齢は様々で、共通点と言えば真相を知っても「ああ、そういうことだったのか!謎が解けた!」というようなすっきり感がないことかもしれない(個人的には)。むしろ知らない方がよかったかも、ただの事故や犯人の衝動的な殺人事件としてニュースに一瞬だけ取り上げられる程度の方がよかったかもと思ってしまう。人のエゴや、因果を見てしまった気まずささえ感じた。

 

特に印象に残ったのは「関守」と「満願」。「関守」は怪談っぽくてぞっとした。「満願」は読後にタイトルの意味を考えると、他人には計り知れない犯人のエゴを垣間見てしまった気がした。