私があなたに判決するのは3回目です
本の帯を見て買うことを決めた。
3回も法廷に立っているということは、3回も何かしらの罪を犯しているということ。裁判官もさすがにうんざりしたのだろうか。
裁判官の仕事は法に従い、訴えた側と訴えられた側の意見を聞き、中立公平な立場で判決を下すこと。
私的な発言をすることはあまりないと思っていたけど、冒頭のようなげんなりした発言や名言が飛び出すこともあるようで面白かった。
判決や刑罰は法律と過去の類似事件で下された前例をもとにして出されることが多く、一般人からすると人間味のなく、心情と合わないこともある。ただし、裁判官の中にも同様に納得いかず悔しさをにじませたり、憤りを感じさせる発言があったりする。
印象に残ったお言葉をメモ
科すべき刑は死刑以外にありえない。(p.26)
早く楽になりたい気持ちはわかるし、生き続けることは辛いかもしれないが、地獄をきちんと見て、罪の重さに苦しんでほしい。(p.22)
「死刑になりたかった」という言葉をきくと、そんなことのために関係ない多くの人を巻き込んで傷つけたり殺したりしたのかと腹が立つ。
対照的な判決でありながら、被告人に望み通り死刑を宣告するのか、死刑を宣告しない判決をするのか、どちらが罰になるのだろうかと考えさせられた。
本件で裁かれているのは被告人だけでなく、介護保険や生活保護行政の在り方も問われている。
こうして事件に発展した以上は、どう対応すべきだったかを、行政の関係者は考え直す余地がある。(p.126)
裁判官が行政の在り方について言及していた言葉はこの本の中でそんなに多くない。もしかしたら防げたかもしれない犯罪だったと思うとつらい。この判決が変わるきっかけになればいい。
刑が多いか少ないか、議論はありえます。
ただ、殺人でも業務上過失致死でも危険運転致死でも、遺族の気持ちに変わりはないんです。
被害者がなくなったという事実が一番大事なこと。
刑期を終えても、ずっと果たさなければならない償いがあります。(p.178)
事件の重大性や亡くなった人の人数でも刑の重さは左右される。ただどんな罪状になってどれだけ刑務所の滞在期間が長くなろうとも、被告人が謝罪を述べても、誰かの大事な人はもう戻ってこない。
裁判傍聴について興味の出る本でした。
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