Mikatsuの本棚

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老化=劣化?

えーっと、あれ、なんだっけ、あの、ほら・・・

話の途中で特定のものの名前が思い出せない。お店の名前や芸能人の名前、さっきまで頭の片隅にいたはずの単語が出てこない。これって年かなあ。

体力が落ちる、目が見えにくくなる、忘れっぽくなる、歳を重ねるにつれ誰しも体の変化を自覚するようになる。老化=劣化のイメージが強いためか、老化に対していい印象を持っている人はほとんどいないだろう。この本ではそんな変化を別の視点から見つめている。

服でも車でも、何十年も同じものを使っているという人はあまりいない。使用頻度や手入れの仕方によっても変わるかもしれないが、そもそも何十年ももつようにはできていない。では、人間の体はどうだろうか。人間の体は日々細胞分裂を繰り返しているので一概にモノとは比べられないが、加齢とともに新陳代謝のスピードは落ち、筋肉や臓器などは日々摩耗していく。何十年も生きていれば、機能が落ちてくるのは当然だ。けれど、体の変化は必ずしも劣化を意味しないと筆者は主張する。

例えば老眼。近くのものは見えにくくなるが、遠くは見える。近眼になったときに眼鏡をかけるように、自分に合う眼鏡を探せばいい。目のかすみやぼやけは、近年ではスマホやパソコンの見過ぎによる眼精疲労やドライアイからきている可能性もあり、20代30代でも多いという。歳だけでなく生活の変化も影響しているかもしれない。

ものが思い出せないという現象についても、年齢を重ねるにつれ経験も積み重なり、覚えておくことが増えたために思い出しにくくなっているだけだと筆者は指摘する。計算がパッとできなかったり、漢字が書けなくなることについても、スマホなどの普及でそもそも計算や漢字を書く習慣がなくなったためであり、老化だと落ち込む必要はないという。

もし何か不調があれば、年のせいと決めつけず、病院にかかるのも重要だ。眼鏡や補聴器、適切な治療で快適に過ごせる可能性は大いにあり、重篤な病気の前兆であるかもしれないからだ。体や心は変化していくが、必ずしも劣化しているわけではない。変化に沿った人生の楽しみ方を見つければいいのだ。