Mikatsuの本棚

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犯罪者御用達ホテル

ミステリーの世界はまだまだ広い。探偵が犯罪者だっていいんだ。

「アミュレット・ホテル」という犯罪者御用達のホテルを舞台に不可解な殺人が起こるミステリーの短編集。このホテルの別館は犯罪者専用。(1)ホテルに損害を与えない。(2)ホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさない。この二つのルールさえ守れば極上のサービスを受けることができ、詐欺グループの幹部から殺し屋まで、あらゆる犯罪歴を持つ者たちの楽園となっている。しかし、警察不可侵かつホテル内で死んだ者は内密に「処理」されるという点を利用され、ホテル内ではこのルールが破られがちだ。不可能とも思える密室殺人や、忽然と姿を消した容疑者、凶器の謎を解くべく、ホテル探偵の桐生は今日も犯罪者たちと向き合う。そして、ルールを破ったものにはその命を持って償ってもらう。

ホテル従業員も含め、登場人物のほぼ全員が犯罪者。裏切り、結託、買収、なんでもありだ。人の死は日常であり、多少驚いてもパニックになることもない。もちろん人の命に対する意識もとても軽い。その反応が新鮮に感じられた。

不可能犯罪さえ成立してしまえば、死体も証拠も跡形もなく処理してくれるホテルの存在に惹かれる犯人たちと、ホテルの威信にかけてトリックと犯人を暴こうとするホテル探偵たちとの攻防に目の離せなくなる本だった。