ミステリーをよく読む。探偵ものより刑事ものが好きだ。最近はトリックより地味で緻密な捜査の末に事件の全容が明らかになっていく過程に楽しみを見出している。刑事ものというだけに刑事が主人公のものが多いが、鑑識課の警察官が主人公のものを見つけて読んでみた。
(あらすじ)
警視庁鑑識課所属の松原唯は、恋人の殉職から立ち直れないまま身を削るように仕事にのめりこむ。ある日、変死体の通報を受けて出向いた先で、変わり果てた若い女性の遺体を検視する。不審な点の多い遺体、謎の付着物、警視庁内の人間関係に悩まされながらも、被害者のため、友人のために犯人へつながる証拠を求めて奔走する。
この本が警視庁鑑識課シリーズの3作目だということに読んだ後で気づいた。とはいえ話が追えないということはなく、細かな描写に引き込まれながらページをめくった。
これまで読んだミステリーの主人公であまり見なかった点がある。主人公が精神的に不安定すぎる。「この人大丈夫なのか?」と心配になるような行動を多々とっており、さらには同僚の嫌がらせやマスコミのつるし上げ行為のような描写もあり、事件の進行とは別にハラハラさせられる。それでも、主人公の信念と協力者の支えによって物語は着実にある一つの結末へと向かう。
ページ冒頭にマリイ・ロオランサンの『鎮静剤』という詩の抜粋があり、4人の女が出てくる。本編にもそれに該当する登場人物がおり、読み終わった後で改めて詩を読むとこの小説の余韻が色濃く残る。
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