Mikatsuの本棚

本を読んだ感想など書いています

子育て神話にエビデンスはあるか

来年親になるため、手探りながらあれこれ調べて準備している。母乳育児、母性、オーガニック製品など、ネット上ではいろいろな人がいろいろなことを言っており、書店でも多様な育児書であふれている。特に母親に向けた「こうすべき」論に何を信じるべきか心配になる。今回は小児科医など専門家の本を読んでみた。

長く信じられていたことでも、医学的・科学的観点から根拠がないと判明したこともあるようなので、余裕のあるうちに確認しておきたい。この本では、QA形式で子育てに関するよくある疑問や不安に対して医療従事者をはじめとする専門家が端的に説明している。エビデンスのないものはエビデンスがないとはっきり言ってくれているところもいい。きになったところをメモしておく。

帝王切開、無痛分娩は楽?

いいえ。帝王切開は体の負担が大きく、産後の回復にも時間がかかる。無痛分娩も痛みを緩和することはできるけれど楽ではない。自然分娩でないからといって楽であるとか愛情を持ちにくいといったエビデンスはない。長期的な視点で見ると子どもの成長にも差は生じない。

・完全ミルクは赤ちゃんによくない?

いいえ。ミルク育児で子どもの発達に不利な影響が出ることはない。母乳が赤ちゃんの健康や発達にいい影響があるというエビデンスはあるけれど、子どもの発達の影響は母乳育児かどうかで決まるわけではない。

・オーガニック素材を選ぶべき?

いいえ。オーガニックであることは肌触りや品質の高さを表しているわけではない。衣類や日用品の化学物質が皮膚から吸収される心配は特になく、赤ちゃんが不快に感じなければ化繊でも可だそう。

アトピーステロイドは使わない方がいい?

いいえ。ステロイドである程度症状を改善しながら、徐々に使用量を減らしていく治療が一般的。アトピーはその後のアレルギー疾患リスクを上げることが分かっているため、適切な治療が重要。

・母親の方が夜泣きに気づくのは母性本能が働くから?

いいえ。育児に対する当事者意識の差であるらしい。また、泣き声に対する反応は一緒に過ごしている時間の長さにも関係するようで、そうなると母親の方が気づきがちなのは納得できる。

・母性愛は自然とわくもの?

いいえ。「母性愛神話」は高度経済成長期ごろに作られた概念で、子どもがかわいいと思えない瞬間があっても問題はない。母親にしかできないこと(母親だからしなければならないこと)も限られているので、パートナーや周囲の大人が育児に関わる方が理にかなっている。

・赤ちゃんの不調・病気についてはすべて小児科に行けばいい?

はい。かかりつけ医を決めて、まずはそこに。発疹や鼻水が出るなど、皮膚科や耳鼻科へかかることも間違いではないものの、症状の一つであるだけで別の病気がある可能性もある。まずは小児科に相談し、必要であれば専門機関につないでもらうのも一つの方法。

初めてのことは本当にわからない。自分だけの失敗であればまだいいけれど、子どもの命がかかっているとなると「まあいいか」とも言っていられない。専門家の意見を知られてよかった。