科学の発展に伴い、宗教から遠ざかる人が増えた。
科学が神の存在を証明したら、宗教は再びその存在を増すだろうか。
(あらすじ)
一人の日本人研究者、夏原がイスラエルにあるキリストの生家とされる場所から乳歯を発掘した。調査の結果、乳歯の年代はキリストが生まれた時代前後のものと判明、キリストの存在が科学によって裏付けられる。さらに、乳歯のDNAは現代人のものとも既知の人類のものとも異なていたことで、より神秘性が増していた。そのころ、夏原の大学時代の友人、小田切と牧は同じく友人の沼が東京の離島で不審な事故死を遂げたことを知る。キリスト教、新興宗教が勢いを増す中、小田切と牧はキリストの乳歯と沼が追っていた青島の鬼の謎を追う。
科学、宗教、人類学、考古学が盛りだくさんの読みごたえのある一冊だった。これまで知ることのなかった分野の知識(フィクションもあるかもしれないけれど)を得ることができて、興味の幅が広がった。
科学が神の存在を証明したことで、キリスト教のみならず宗教全体で信者が増加し、新興宗教も盛り上がりを見せてくる展開は現実味があり、小田切の妻が新興宗教に傾倒していく様子は危うささえも感じだ。誰もがよりどころを求めており、センセーショナルな発見が大きな社会現象を巻き起こすさまはフィクションの世界にとどまらないと思う。
イスラエルでの大発見と、日本の青島に存在したとされる鬼の記録、全く関係がないように思えた二つの出来事が同時に進行していく。中盤に差し掛かってもさしたる共通点が見つからず、全く先が読めなかった。ところが最後に一気につながり、さらに終わりにどんでん返しがある。こういう本をもっと読みたい。
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