章の中でも場面がこまめに分けられており、現在と過去を行き来する。ゆっくりと考える間もなく視点をあちこちに変更させられ、主人公と同じく自分もどこかおかしいのではと不安になる。謎や犯人の予想を立てるのは不可能に思える一冊だった。
(あらすじ)
インドで発見された200年前の人骨と、行方不明になった妹のDNAが一致した。主人公七瀬悠の身の回りでは不自然な殺人事件が起こり、捜査協力を求めてきた女性はすでに他界していると知る。これは夢か現実か。大手製薬会社と新興宗教の何らかの密約を発端に、登場人物たちの過去と現在が交差し、すべての謎が解き明かされる。
疾走感のあるミステリーだった。主人公が精神的に不安定な設定なので、主人公とそのほかの登場人物、どちらの言っていることを信じたらいいのか疑心暗鬼になる。単なる失踪事件でも、殺人事件でも、企業のスキャンダルでもない、ひとくくりにできない謎にずっと翻弄されていた。タイトルも秀逸で、読み終えるころにはいったいどこからこの題名にたどり着いたのかと感動した。
