この話はもちろんフィクションなのだろうけれど、特殊詐欺の手法やそれぞれの役割、警察の動きなどがリアルに感じた。闇バイトや闇金、就職氷河期やコロナ禍で打撃を受けた人々、パパ活など、社会問題がふんだんに盛り込まれたかなり読みごたえを感じる一冊だった。
【あらすじ】
フードデリバリーである場所に配達に向かったアオイは、正体不明の建物に軟禁され、強制的に特殊詐欺の「掛け子(被害者に電話をかけてだます役割)」にさせられる。闇バイトと知っていて参加した面々や保険営業中に巻き込まれた女性と、脱出不可能な部屋「スウィンダラーハウス」で掛け子として働き、1億円をだまし取れるまで出られないという運命を共にする。モニター越しに表れた不気味なピエロの女の指示の下、オレオレ詐欺、キャッシュカード詐欺、資金詐欺の片棒を担ぐことになる。
特殊詐欺について詳しくなかったので、番頭、掛け子、出し子、受け子など、役割が細分化され、闇バイトで「仕事」している人々はそれぞれに関係性がなく、たとえ捕まったとしても大元をたどることは難しいなど、新たにいろいろ知ることになった。また、特殊詐欺のグループは複数あり、あるグループが捕まってもそれですべて解決というわけでもないこともわかった。
小説だからと自分に言い聞かせながら読み進めたものの、誰もが遊ぶ金欲しさに闇バイトをやっているわけではないところが心苦しかった。コロナが原因で仕事を失い、生活に困っている人、就職氷河期世代でろくな仕事に就けず詐欺に手を染めた人、「社会システムの正常化」のもと富の再分配を試みる人、当たり前かもしれないがそれぞれに思惑がある。
また、この小説は特殊詐欺グループvs警察という構図に収まりきらない、復讐劇の要素も含まれているところも読みごたえがある。
終盤にかけては手を止める箇所が分からないほど引き込まれるので、時間のある時に読むのがおすすめだ。
