Mikatsuの本棚

本を読んだ感想など書いています

ノアは誰だ

気になっていたけど手を出せていなかった本があった。本屋で見ると必ず裏面のあらすじまでは見るものの、なんとなく怖くて買えなかった。

友人がこの本を読むというのを聞いて、やっと重い腰を上げた。

「衝撃のラスト」という言葉の似合う一冊だった。

【あらすじ】

大学時代の友人と山奥の地下建築に訪れた柊一たち6人は、道に迷った3人の家族と共に一夜だけをそこで明かすつもりだった。しかし、突如襲った地震により、地下建築「方舟」の出入り口がふさがる。地下水が浸水し始める中、殺人事件も起こる。助かるすべは、誰か一人を犠牲にして地下建築から脱出すること。もちろんその犠牲は、殺人を犯した犯人でなければならない。

 

この物語の人間模様や地下建築の様子は、主人公の柊一の目線で語られる。通常ミステリーでは観察眼の優れた登場人物がおり、絶体絶命な状況や犯人を解明し、事件を解決へ導く。その役割を担っているのは柊一のいとこの翔太朗だ。しかし、彼らは警察でもなければ殺人の捜査に詳しいわけでもない。地下建築に閉じ込められ、浸水が続いている異常事態で、全員が何とか平静を保ちつつも疑心暗鬼になり、自分以外が「生贄」になるすべを模索する。

「みんな」が助かるために必要な犠牲は1人でよいはずなのに、なぜ犯人は次々と殺人を犯すのか。読んでいるうちに自分も「方舟」に閉じ込められたような気になる。

『方舟』を読んだ人と語りたいことがたくさんある。本筋以外にも謎が多い。読み終わったときは衝撃で呆然としてしまった。振り返れば不審な点や「あの時のセリフはそういうことだったのか!」と気づけるが、一読しただけで気づく人がいるとは思えない。読者たちも異常事態に巻き込まれてしまう。

個人的にはノアはいないと思っている。

既に読まれた方、どうでしょうか?