Mikatsuの本棚

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グリーンフィンガー

先日、曾野綾子さんの訃報のニュースを見た。一時期、人の生き方、教育、宗教についての著作を何冊か読み、生き方や考え方について少なからず影響を受けた。またこの人の本が読みたくなった。

植物の栽培が上手い人のことを英語で"green fingers(グリーンフィンガー)"というらしい。しかし海辺の別荘で畑仕事にいそしむ筆者は、それではなく「泥の指」だという。植物は人間の都合などお構いなしで、まして権力におもねることもない。かいがいしく世話をしてもあっけなくしおれて枯れていく木もあれば、植えた覚えもないのにいつの間にか葉を広げる花もある。人間など無力で、植物は自然に、そして神に育てられているのだ、という筆者の視点がおもしろい。敬虔なカトリック教徒であるからか、しばしば聖書の引用や信仰についての意見がみられる。

曽野さんの本を読むと、自分がいかに傲慢で無知であるか知らされる気がする。それを再認識したいがためにこの人の本を読んでいる節がある。

人生で望んだ方向に努力しても、世の中は自分の思う通りにはならないことだらけだ。解決するのは時間である。その「知恵」を教えてくれたのは、畑仕事であった。種を蒔いたり、木を植えたり、するだけのことをしなければ実りもないが、収穫の時期を決めるのは植物自身であって、決して人間ではない。(531/1807)

直接会ったこともなければ、今後一生会うことなど叶わない。けれど本を開けば、いつでもその教えを乞うことができる。それが読書の醍醐味だと思う。