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読書で世界旅行#14 ウクライナ 明日、戦争になります

前からそれとなく不穏な空気はあった。

それでも平和な日常は続いていた。

そして今日、爆発音とともに日常が揺らぎ始める。

明日、戦争になる。

メディアを通して毎日のように見る各地での戦争や紛争、国家間での緊張状態。自分たちの日々の生活には目立った影響がなく、あまりに連日報道されるため麻痺状態に陥っている。平和な日常を送れる、どこか他人事でいられる自分に、ウクライナの戦争のリアルを突き付けられた。

この本はロシアがウクライナに軍事侵攻した日から、16歳の少女が一人で日本へ渡航するまでの日記だ。母、娘、愛犬とその近くに住む祖母、叔父は平和な日常を送っていた。食料豊かなウクライナの地で、16歳のズラータは大好きな美術と日本語の勉強にいそしんでいた。

2022年2月24日、早朝に爆発音が響いた。何か工場で事故でもあったかと思い外を眺めたズラータが見たものは、ガソリンスタンドへと続く道に並ぶ車の行列だった。冷静にいることに努めた母娘が直面した現実は、日々ものがなくなるスーパーマーケットと、攻撃されたというニュース、夜間の電気使用や外出の制限だった。そして、大好きな学校から一人また一人と消えていく生徒たちと、「明日戦争になります」という教師の言葉。戦争が始まったのだ。

シェルターを探して非難しましょうというメディアの呼びかけもむなしく、町にシェルターなどほとんどなく、家族は変わらずアパートで暮らす。海外に親戚もなく、移動するお金も体力もない人々や高齢者は、戦争下での新たな日常へと移行せざるを得なかった。

そんな中、母は貯めた16万円を娘に託し、日本への渡航を決める。いけるのは娘一人だけ、国内からの飛行機の利用はできないため、ポーランドまで電車で行く計画だった。しかし、相次ぐ爆撃で電車が時間通りに来ることはなく、極寒の中ひたすら来るかもわからない電車を列に並び待ち続けることとなる。これまでの人生で経験したことのない不便さと疲労の中、憧れの国へ旅立てることを心の支えに耐えていく。

日本のテレビクルーとの出会いや、多くの人の支えによって、絶望的な状況に陥りながらもズラータは日本への渡航に成功する。

生活苦に不安を持ちながらも、夢のため、ウクライナのため、彼女の新たな日常が始まる。

 

明日、家が爆撃に合うかもしれない。スーパーから物が買えなくなるかもしれない。電車が来なくなるかもしれない。避難する場所などどこにもない。海外に移住のつてなどない。なぜ戦争になり、いつそれが収束するかもわからない。日本にいるととても考えられないこと、歴史や映画、メディアを通して「知っていた」ことが、現代で今まさに起こっていることだと実感させられた。

日本にいても、平和な日常が明日なくなる可能性はゼロではない。その時、自分たちはどうするだろうか。そうならないために何ができるのか。今そのような状況下に置かれている人たちに何ができるのか。多くのことを考えさせられた。