時間の価値について考えました。
(あらすじ)
ある町で、人々はゆったりと暮らしていた。出自不明の女の子「モモ」をみんなで世話して、時には相談に乗ってもらったり子供と遊んでもらったりしていた。モモはそんな町の人たちをとても愛していた。
次第に「灰色の男たち」が町のあちこちに現れるようになった。大人たちに近づいて時間を無駄にしないよう「貯蓄」する方法を広めていく。時間を節約しようと大人たちはそれまでしていた仲間とのおしゃべりや余暇の時間をどんどん削っていった。子供たちも有意義な時間を過ごすために管理され、みんなせわしなく「するべきこと」に時間を費やしていく。時間を節約して「すべきこと」に集中しても、時間はいっこうに貯まらない。働くことも、食べることも、遊ぶことも楽しむものではなくなっていった。
時間の管理人に導かれたモモは、みんなの時間を取り戻すために時を超え空間を超えて旅をする。
現代人は忙しい。
新しテクノロジーによって効率化や自動化をすることで、生活がより豊かになると信じられており、時短レシピで料理することで、より自分の時間が取れると信じられている。
そうなるはずなのに、なぜかいつも時間がない。
時間はどこにあるんだろうか?
節約したはずの時間はどこに行ったのだろうか?
時間というのは、時計の数字で表されていても、個人によって感じ方が多様だ。楽しい時間はあっという間に過ぎるし、つまらない授業や会議は長く感じる。
時間は自分の中にあり、貴重なもの。
だから誰かに盲目的に明け渡してはいけない。
この本はそんなことを言いたいのではないかと思った。
この話が世に出されたのは1973年で、最近のことではない。
だけど現代に必要な考え方が示されている。
時間を節約することばかりにとらわれることによって、失うものがあるのではないか。
何も変わっていないはずなのに、この本を読んだ後では時間の使いかたが変わった気がする。